こんにちは、優木です。
私は母娘共々カウンセラーです。【母:町村ゆき】
今日は、親子のエピソードをブログにしてみようと思い筆を取りました。
*****
私が小学校低学年の頃でした。
ある日、母がこんなものを買ってきたのです。
【ダイエットミュージック〜波の癒し〜】
このDVD、どんなものかと言うと
映像を見て、
波の音を聴くことで
食欲が減退して痩せる
というものでした、真偽は定かではありません、18,000円。
母の必死さがひしひしと伝わります。
今ではカウンセラーをしている母ですが、心理学に触れるまでは非常にクレイジーな人でした。
いつ怒り出すのか分からない、何で怒り出すのか分からない、蜷○幸雄監督や横山や○し師匠の方がまだ分かりやすいのかなと思います。
母なりの苦労もあってか、特に私の勉強と体型のことには厳しく、日常的に熱いご指導とご鞭撻を賜ることが多かったです。
さて、話をDVDに戻します。
当時、VHS(ビデオテープ)が主流だった我が家に新顔として訪れたDVD、それがこいつなのです、18,000円。
ばあちゃんがVHSに録画した鬼平犯科帳、鬼平犯科帳、水戸黄門、必殺仕事人、必殺仕事人、バラエテー、ジブリ、ジブリの並びにこいつがいる。
なんで母が突然こんなものを...。
当時の私、小学校低学年ながら高学年のデカさだったので母なりの愛と親心だったのでしょう。
見て、聴くだけで!!
痩せるんだ!!
親子の絆は時に理論や科学を超えます。
この親にしてこの子あり、よく言ったものです。
この日からDVDダイエット生活が始まりました。
*****
初めはいいんです。
ブラウン管に映る美しい海、青々とした空、くりかえす波を見ます。
「こんなに簡単に痩せちゃうんだ、最高!」と思うわけです。
映像を見る私に母は問いかけます。
「るな、どう?食欲なくなる?」
「うん!お腹減ってない!」
「るな、おやつ我慢できてる?」
「うん!食べてないよ!」
やり始めはなんだか効果がある気がするのですが、ある問題が出てくるのです。
つまらないんです。
波が来るー、引くー、来るー、引くー。
音がざざー、ざざー、ざざー、ざざー。
ずっと波。
体は小学校高学年ですが、脳みそと心は低学年です、次第に飽きます。
気づいた時にはリカちゃん人形で遊んだり、絵を描いたり、レゴブロックで車を作ったり、いつのまにか「波の音が流れている空間で遊ぶ子供」になっていました。
しかし、母親からは定期的に「ちゃんと毎日DVD見てる?」と訊かれる。
その度に母に怒られたくないと「うん!見てるよ!」と言うのですが、次は矛盾が生じます。
それは“我が子が痩せない”と言うことです。
そりゃそうです、最初の2、3日はやる気もあるのでお菓子に意識が行きませんが、だんだん飽きてきます。
何よりの天敵はばあちゃん(母の母)です。
優しいばあちゃん、お菓子をくれるばあちゃん。
当時のばあちゃんは我が孫に満腹中枢が備わっていることを知らなかったのだと思います。
孫からすると無尽蔵にお菓子をくれる最高のばあちゃんです。
そんな最高のばあちゃんとクレイジーな母に哺乳瓶でカルピスを飲まされていた私ですから、血も肉も爪も髪もお菓子とジュースでできています、サラブレッドです。
サラブレッドたる私に波ごときが敵うなんてあり得ないことなのです。
お菓子を食べる時だけ遊ぶ手を止めて波を見る。
波を見ながら食う。
大丈夫、波を見てるから、お菓子食べても大丈夫。
そんなはずはなく...。
痩せることもなく、いつの間にか見ることもなくなり、鬼平犯科帳のVHSに埋もれたDVDは、引っ越しのタイミングで私に発見され人知れずに捨てられるのでした。
そして今日、やっと日の目を浴びたのです。
十数年越しに思い出されたDVD。
我が家で役に立つことはありませんでしたが、今こうしてブログをしたためる題材としては充分に役目を果たしていると言えます。
18,000円という大枚を叩いた母の愛も報われるでしょう、やり方は考え物ですが。
このエピソードから学びを得るならば。
愛し方にも色々ある
そして、波を見るだけでは痩せないということです。